個室にて

Ars Cruenta

2022-01-01から1年間の記事一覧

応援は少なくていい

自分を応援してくれていると思っていた人に裏切られて半年ほどしてからだろうか、不意にインスタグラムのサジェストで出てきた無名のアイドルに何となく興味を持ちフォローしたことがある。今でも何となく何人かはそのまま残しているのだが、彼女たちは毎日…

年の差

いわゆる「アラサー」の自分だが、結婚への焦りだとか仕事に関する要求だとか、そのようなものがあまりない。危機感がないというより、まだ自分が若いような、そんな気持ちが残っている。 いくつか仕事を掛け持ちしているのだが、不思議なもので、ひとつの仕…

面倒をかけることへの負い目

前にブログで書いたこととほぼ重なるが、改めて。小売業で働き始めたとき、慣れないながらも結構ショッキングだったことのひとつに、客は驚くほど自分でものを探す能力がないということがあった。ひどい場合だと店に入ってくるなり「~はどこだ、案内しろ」…

骨を折ること

先日、家族がひょんなことから骨折した。しかも旅行の一日目に。本当に「え、こんなことで?!」ということがきっかけだったので、最初は軽い捻挫だろうと冷やしていたのだが、念のためにと見知らぬ土地で大きな病院に電話をかけるも整形外科は休み、地元の…

兼近さんの言葉

高校時代の自分は、実に不遜で能力もないのに名誉を求める典型的なダメ人間だったように思う。たまたまある出来事をきっかけに勉強ができるようになったから良い大学に入ってそこで更なる幸運に恵まれたものの、幾つかの幸運に恵まれていなければ、きっと今…

関係修復の技術

イギリスで文学者や詩人らが集まるサークルが作られるときには、しばしば「会則」のようなものが設定される。別にこういう会則をたくさん読んでいるわけではないのだが、たまにこういう会則のなかに人を笑い飛ばすルールがあるというのは興味深いと思う。た…

消去法の愛

誰かに好かれている、あるいは誰かが好きだというとき、ときどきある論法が用いられる。私は消極的な意味合いを込めてこれを「消去法の愛」と呼びたい。 たとえば川で恋人ともう一人別の人が溺れている。どちらを助けようというときに、「恋人だから」ともう…

行き場のない感情

家族やそれに近しい人が加害者になる事件はいろいろある。親殺しや金銭トラブルに関するニュースには事欠かない。そういう事件の中でもとりわけ複雑だなと思うのが、結婚相手や恋人によるDV加害やストーカー行為、あるいは浮気・不倫の類なのだと思う。こう…

茶碗蒸しが好き

とある旅館で、ある日の夕食、小さな茶碗蒸しが出てきた。手作りの茶碗蒸しはおいしいだろうと一口食べると、思っていた和風の茶碗蒸しではない。ブイヨンがよくきいていて、歯に硬いものがあたる―カシューナッツだ。かと思えば二口目にはクリームチーズがふ…

嵐のなかへ

気持ちが塞いだり逆に感極まったとき、ついつい外へ出て歩き回るという癖がある。気持ちの変化は様々なことで引き起こされるだろうが、厄介なのは雨だったりする。というのも、雷雨や嵐の様子に気持ちが動かされて、それによってついつい外へ出たくなってし…

24時間テレビと「感動ポルノ」

ネットでは割と、24時間テレビに否定的な声がよく聞かれる。特に「感動ポルノ」という言葉が使われるようになってからこの言葉は24時間テレビ批判でよく用いられるようになって、NHKの障害者バラエティは24時間テレビにぶつける形で番組を作ったりもした。確…

生クリームという呪い

料理をはじめたころ、クリーム系の食べ物を作ろうとするといつも決まって躊躇していた。レシピに必ずと言っていいほど生クリームが入ってくるからだ。これが本格的なソースを使ったレシピならまだ分かるものの、カルボナーラやたらこスパゲティといった身近…

「エコな暮らし」の後背

今に始まった話ではないけれど、田舎で「自給自足の生活」を送る家族のドキュメンタリが最近やたらと増えたような気がする。動物番組やニュースの特集などで、大抵は子供のいる家庭が取り上げられて、自家製の野菜や山に生えたものを食べる姿や、味噌やこん…

「書かなくてよい状態」

10日もブログを更新していないことにふと気づいた。継続は力なり、という言葉があって、前にこのブログでも続けることそのものが持つ効用について偉そうに語っていたわけなのだが、なんとなく今は、真逆の感情がわいている。今の自分は、ブログを必死になっ…

目を見る

一年ほど前にストーカー被害に遭ったことがきっかけで、人の目をますます見られなくなったということは以前にブログに書いた気がする。あれからなるべく人の目を見るように練習しているのだが、なかなかうまくいかない。しかし例外というのもあって、今日は…

スーツの話

高校生から大学生くらいのころ、妙にスーツに憧れていた時期があった。我が家は自営業で「くたくたになって帰ってくる背広の父親」みたいなものを見たことがなかったというのも一因だろうし、ひょっとするとゲームなんかに出てくる紳士的な(大体ゲームだと…

服を買う

いろんなお店で買い物をするわけだが、いまだに苦手なのがやはり服を買うことである。自分のスタイルがどれほど定まったところで、ユニクロ一つ行くことに抵抗がある。 たとえば靴や帽子、服はある程度自分でうまく調整して買うことができる。足の大きさと便…

哀しみをリセットして

私は母語であろうが他国語であろうが、とにかく音を聞き取るのが苦手で、子供のころから人の話を聞き取るのに苦労していた。しかも音楽のように抑揚やリズムが加わると余計にダメで、「この歌詞が刺さる」以前に「こいつ何て言ってるの?」となることがしば…

主食とサラダの狭間で

ペンネサラダとか、マカロニサラダというサラダがある。細めのパスタを湯がき、ポテトサラダのようにほかの具材と混ぜ合わせて仕上げるアレのことだが、先日、ふと思い至って「パスタを作るようにサラダを作るとどうなるのか」と思い至った。何を言っている…

生地をこねる余裕

仕事の進捗は芳しくないけれど、昨日は思い切ってラビオリを作ってみた。生地からパスタを作るなんて初めてだったのだが、思えば昔はよく生地をこねてピザや小籠包を作ったものだった。一番多かったのはピザ。いつもたっぷり三枚分を用意して、寝かせている…

堤を作る

先日ツイッターで、「子供はどうして砂で堤を作るのが好きなのか」というようなことを呟いておられる方がいた。最近は仕様が変更したのか、知らない人のツイートがポンと出ては、次の更新で消えてしまったりするのでリツイートなどもできなかったのだが、よ…

真正面から

誰にだって、その人にとっては意外と大事だけど他の人からすればどうでもいいこだわりのようなものがあるんじゃないかと思う。私の場合何かというと、「なるべく正面から建物・敷地に入る」というものがある。 たとえば京都の出町柳の駅に着いたとき、どれほ…

永遠の命と希死念慮

小学2,3年生くらいのころだったと思う。当時から寝つきが悪く、夜は布団で横になってなかなか眠れなくなる時があった。そんなある日、突然自分がいつか死ぬということが気になった。自分が死ぬということはどういうことなのか。当時は老衰なんてなかなか…

道具の性能

毎日使うものだからきちんとしたものを、という趣旨の言葉がある。これを言い出すときちんとしなくちゃならないものが無数に出てきてしまうのだが、好きなものには多少はこだわりたい。先日、ずっと使ってきたフライパンにガタがきて、油を入れまくっても卵…

座右の銘

好きな言葉はなんですか、とか、座右の銘は何ですか、と聞くアンケートが少し苦手だったりする。自分で考えて何かを書かないといけないのも、人の答えを見るのもあまり好きではない。そういう性質だから、よく企業のお偉いさんが自分の経営精神などを一言に…

塞翁が馬

「塞翁が馬」という有名な故事があるけれど、あれは本当にそうだなとこの数年で痛感しているところがある。ずっとつるんでいくのだろうと思っていた人に裏切られたり死別したりすることもあれば、ひょんなきっかけでずっと連絡を絶っていた人から思わぬ便り…

生卵の魅力

美味しい卵があるだけで生活が華やぐ。最近は高級な卵がたくさんあるけれど、我が家では山の方から80個ほどをたまに送ってもらう。普通の卵も高くなってきているので、案外普通の卵+送料+ちょっとくらいの値段で済むのだ。農家さんから直接買うので新鮮、…

不思議な関係

人間関係と言えば、ときどきネットで変な人に出会うことがある。ある日、SNSでフォローされて、突然DMが送られてくる。最初はたわいのない挨拶から始まって・・・とくると、普通ならば詐欺かスパムかを想像するだろう。当然こっちも最初はそういう悪いことを…

「女」友達

以前、「あいつはいつも女の子と一緒にいる」みたく、プレイボーイのようなことを書かれたことがあって、なんとなく怒りたいわけでもなければ単なる事実とも認めたくないような、不思議な感覚に陥ったことがある。というのも、男子校にいた6年間の特殊な時…

料理のアイディア

なんでも情報というのは調べてみるもので、たとえば外食する気がまったくなかったとしても、流行りのレストランやバラエティ番組のお店紹介を見ていると、日ごろの生活のヒントになることが見つかる。たとえばお塩でとんかつを食べると美味しいという話を初…