個室にて

Ars Cruenta

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大事だけど大事にされないお金

世の中には、大事だと言われているけれども大事にされていないように見えるものがある。その典型例はなんといってもお金じゃないだろうか。たとえば関西の人はお金にシビアだとよく言われる。このような表現は、自分のお金を大事にしている言葉のように聞こ…

書かないといけない状態

しばらく前、「書かなくてよい状態」というタイトルでブログを書いた。要は、自分がブログを書くのは辛く哀しい状態を紛らわせる必要があったからだが、ある種の心の平穏を得たから書かなくてよい状態にまで至ったという話だ。しかし今、自分は再び前と同じ…

自分を変えるかガラスを変えるか

「そんなこと考えたって仕方がないよ」と言ってなんでも行動することが良いのだと言う人がいる。いやしかし、行動というものは考えた結果として出てくるもので、考えることを過小評価することは、無責任で時に破滅的な行動に結びつくのではないかと時折思う…

応援は少なくていい

自分を応援してくれていると思っていた人に裏切られて半年ほどしてからだろうか、不意にインスタグラムのサジェストで出てきた無名のアイドルに何となく興味を持ちフォローしたことがある。今でも何となく何人かはそのまま残しているのだが、彼女たちは毎日…

年の差

いわゆる「アラサー」の自分だが、結婚への焦りだとか仕事に関する要求だとか、そのようなものがあまりない。危機感がないというより、まだ自分が若いような、そんな気持ちが残っている。 いくつか仕事を掛け持ちしているのだが、不思議なもので、ひとつの仕…

面倒をかけることへの負い目

前にブログで書いたこととほぼ重なるが、改めて。小売業で働き始めたとき、慣れないながらも結構ショッキングだったことのひとつに、客は驚くほど自分でものを探す能力がないということがあった。ひどい場合だと店に入ってくるなり「~はどこだ、案内しろ」…

骨を折ること

先日、家族がひょんなことから骨折した。しかも旅行の一日目に。本当に「え、こんなことで?!」ということがきっかけだったので、最初は軽い捻挫だろうと冷やしていたのだが、念のためにと見知らぬ土地で大きな病院に電話をかけるも整形外科は休み、地元の…

兼近さんの言葉

高校時代の自分は、実に不遜で能力もないのに名誉を求める典型的なダメ人間だったように思う。たまたまある出来事をきっかけに勉強ができるようになったから良い大学に入ってそこで更なる幸運に恵まれたものの、幾つかの幸運に恵まれていなければ、きっと今…

関係修復の技術

イギリスで文学者や詩人らが集まるサークルが作られるときには、しばしば「会則」のようなものが設定される。別にこういう会則をたくさん読んでいるわけではないのだが、たまにこういう会則のなかに人を笑い飛ばすルールがあるというのは興味深いと思う。た…

消去法の愛

誰かに好かれている、あるいは誰かが好きだというとき、ときどきある論法が用いられる。私は消極的な意味合いを込めてこれを「消去法の愛」と呼びたい。 たとえば川で恋人ともう一人別の人が溺れている。どちらを助けようというときに、「恋人だから」ともう…

行き場のない感情

家族やそれに近しい人が加害者になる事件はいろいろある。親殺しや金銭トラブルに関するニュースには事欠かない。そういう事件の中でもとりわけ複雑だなと思うのが、結婚相手や恋人によるDV加害やストーカー行為、あるいは浮気・不倫の類なのだと思う。こう…

茶碗蒸しが好き

とある旅館で、ある日の夕食、小さな茶碗蒸しが出てきた。手作りの茶碗蒸しはおいしいだろうと一口食べると、思っていた和風の茶碗蒸しではない。ブイヨンがよくきいていて、歯に硬いものがあたる―カシューナッツだ。かと思えば二口目にはクリームチーズがふ…