個室にて

Ars Cruenta

うどんのいろいろ

 めん類を食べたいとなると、うどん、そば、ラーメンの三つがおそらく今でも三銃士となるのだろうか。このなかでも我が家でも二週に一回くらいは必ずうどんを食べようかというシーンが出てくる。

 一時、スーパーでいろんなうどんを買ったり、通販で取り寄せたりしていた時期がある。こうしたうどんはたいてい「乾麺」と「半生麺」に分けられるのだが、色々食べた結果、半生麺だから美味しいというわけでもないことに気づいた。香川の有名店のうどんでも、値段の割に乾麺以上のパフォーマンスが出ていないような気がする。

 おそらく原因の一つは家庭の鍋にあるのではないか。お店の大きな釜で湯がくのと違い、家庭の鍋は大きなものを用意したところで大きさに限りがある。圧力鍋でも、入って水の量は3Lあまりだし、底面積がそれほど大きいわけではないから、ぐらぐらと煮立たせてもなかなかうどんが踊りにくいのではないだろうか。また、火にかければかけるほど水分は蒸発していくわけだから、たっぷりのお湯でゆでているつもりでも、10分も時間がかかるとだんだん水分が足りなくなってしまうのではないだろうか。とはいえ、家庭でこの問題を解決することは難しいのだから、それならもう家で食べるものは、家で美味しく食べられるものに限って、有名店のうどんはいつか旅行に出かけた時でいいじゃないかと思うようになった。

 うどんもいろいろあって、讃岐うどんでもヤフーショッピングで調べてみると少し平打ちになったものがあるなど、ちょっと面白いものがある。最近のオススメが長崎の五島列島で作られる「五島うどん」で、細麺でありながら椿油を用いてのどごしのよい、独特のうどんとなっている。9人前送料無料で1,000円だから、それなりにリーズナブルなのもよい。

store.shopping.yahoo.co.jp

あと、うどんと呼んでよいのかよく分からないが、寒い時期は「ほうとう」もオススメだ。乾麺でも通販の半生麺でも、最近は味噌だれがついているので、非常に手軽に作ることができる。

 そういえばうどんといえば、忘れられない思い出がある。子供のころ、伊丹市尼崎市の境界付近にある「つかしん」という商業施設に、「川福」といううどん屋さんがあった。ここのうどんが、びっくりするくらいしこしことした麺で、子供の自分になかなか噛み切れないほどの弾力があるのだ。この食感が頭について離れず、大人になるまでずっと私は「うどんとはこういうしこしことしたもので、しこしこしているほどよい」と思い込んでいた。しかし福岡うどんのように柔らかくておいしいものもあるし、ゆで時間が短いからえらいわけでもないのだなと最近は反省している。