個室にて

Ars Cruenta

高知の日曜市

 高知と言えばよさこいやおきゃく、かつおに酒といろいろ面白いものがあるが、そのなかでもドギモを抜かれるもののひとつが毎週日曜日に開かれる日曜市だろう。昔、高知に行った際、この日曜市を目にしてその広大なことと売られているものの豊かさに感銘を受けた。

 まず広大さについてだが、それは地図を見れば一目でわかる。高知市が提供しているこのマップの裏面には、所狭しとたくさんのお店が載っているのがわかる。

www.city.kochi.kochi.jp

完全な連番となっているわけではないのだが、7丁目の644まで番号が振られている。もっともこの地図に載っているのは出品予定者の番号で、すべてのお店が必ず日曜日にお店を出すわけではないらしい。しかし、たとえば半分のお店が休んでいたとしても300軒近くのテントが並ぶのだ。そこらの神社で開かれるお祭りの屋台と比べても、十分に多いと言えるのではないだろうか。

 しかもここで売られるものは、いわゆるテキ屋が開くたこ焼きやホットドッグではない。それがこの日曜市の凄味で、地図に記されたお店の紹介を見ても、野菜や漬物が目立つのがわかる。この日曜市は地元のおじいちゃんおばあちゃんなどが自分で作ったものを売りに来る、「本当に顔のわかる市場」なのだ。そのため山菜や田舎の漬物、新鮮な野菜が好きな人には恐ろしいほど魅力的な市場なのだ。私はここで、ニンニクの葉やニンニクの葉で作る高知名産「ヌタ」、手作りこんにゃく、酒かす漬け、大根の漬物、山菜の塩漬けなどをたっぷりと買って帰った。

 こう書くと道の駅の野菜売り場がそのまま路上に出てきたように見えるが、日曜市にはグルメスポットも点在している。夏になるとお出しで食べるところてんを供するお店があったり、近くの「とさのさと」でもお店を構える店が「いも天」という独特な触感のメニューを供している。さらに各所には高知名物の「田舎寿司」を扱う店も多い。そしてこの日曜市を東から進んでいった先にはちょうど、観光客にも有名な「ひろめ市場」の飲食街がある。日曜日は早めに空いているお店が多いから、のんびりホテルを出てブラブラしているうちに、ひろめ市場で早めの一杯を楽しめるというわけだ。

 残念ながらコロナの影響で蔓防になってしまうが、落ち着いたらまたあの市場を訪れたいと切に思う。