個室にて

Ars Cruenta

精鋭部隊の商店街

 阪神野田駅といえば急行が停まるイメージが強い。鉄道でいえば大阪メトロとつながっていて、南に行けば福島の市場があって、松下幸之助の碑があるという印象も強いだろう。福島近辺ということもあって、飲み屋街があると思っている人も多いかもしれない。ただ、駅から臨める野田新橋筋商店街がとんでもなく精鋭の揃った商店街だということを知る人は存外少ない。

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 たとえば一番街の隅っこにある「川繁」は、そこそこリーズナブルな価格でうなぎを買えるうなぎ屋さん。量り売りなので好きなサイズを指定して買うのだが、ここの「おだし」と呼ばれるタレが格別にうまい。余れば鶏モモをさっと炒めておだしをかけるだけで立派などんぶりになる。焼いているときに言えば、白焼きの注文も可能で、キモの販売もある。土用の丑の日はうなぎ供養のためにお休みするという、なかなか素敵なうなぎ屋さんだ。

 マップで「すきやねん広場」となっている場所には、少し癖のあるおばあさんが奈良の野菜や果物を扱っている。早生の小さなみかんは抜群に甘みが強く、アスパラガスは生で食べられる一品。その先の豆腐屋さんは定食なども扱う店で、少し値段は高いが豆腐自体はおいしい。

 イチ押しなのが「鶏清」。文字通り鳥屋さんなのだが、一年を通してほかのお客さんがいないときがないほどの盛況ぶり。日ごろあまりお惣菜なんて買わない我が家だが、ここの焼き鳥、ハーフチキン、ささみのしそ巻きなどはどれも非常においしい。おいしいのは生の鳥がおいしいからで、このご時世でも、一部の商品は生で食べられると言って憚らない。もともとは阪神野田駅と直結しているWISTEという商業施設内に店を構えていたらしいが、何があったか新橋筋に移転したらしい。

 スーパーも数軒あるが、それぞれが素敵なお店である。一軒は前にもこのブログで触れたビッグビーンズ野田店。現在リニューアルのため閉鎖しているが、すぐ近くにビッグビーンズが営むパン屋さんが営業している。またこの商店街には大阪で数店舗を構える「八百鮮」もあり、こちらは非常に安い値段なのに新鮮なものを数多くそろえるモンスターのようなスーパーとなる。

 市場が近いからか、いろいろ揃った精鋭の商店街。しかし紹介したお店の間に、下町の情緒を残したいろいろのお店があるからこそ商店街らしい商店街となっている。ここに行くために電車代を払うのも決して無駄ではないと思うので、ぜひ一度訪れてみてほしい。