個室にて

Ars Cruenta

ビッグ・ビーンズ

 大阪を中心に数店舗を構える「ビッグ・ビーンズ」。「グルメマーケット」の名を冠するだけあって、食品にすべてを注ぎ込んだちょっと高級なスーパーである。私がこの店のことを知ったのはおよそ一年ほど前。「雲仙ハム」という美味しいハムが売られているお店と聞いて行ってみたら商品のラインナップにドギモを抜かれ、コロナで外食ができないなか家での居酒屋メニューを充実させようと、たまに買いに行くようになった。

 ビッグ・ビーンズのいいところは一言でいえば「そこそこの価格で良いものとちょっと高いけど珍しいものが両方手に入る」という点にある。当たり前だろうと思われるかもしれないが、実はこれを達成できるスーパーはそれほど多くないのではないか。高級スーパーや百貨店でも、値段が高いけど微妙なものや、値段はそこそこだけどいまいちパッとしないラインナップの店はいろいろある。これに対しビッグ・ビーンズはローストビーフやスモークサーモンの切り落としは安く手に入るうまいものだし、なにせ寿司や刺身のクオリティが高い。肉にもこだわりがあり、ショーケースに並べて和牛を取り扱う一方、ホルモンのたれ焼などはそこらのスーパーとそれほど変わらないリーズナブルな価格で提供されている(そして段違いでうまい)。自社で製造しているチーズなどもあり、よくあるチーズとドライフルーツのセットも非常にクオリティが高い。もちろんその他さまざまの食品が扱われており、ちょっとしたテーマパーク気分を味わえる。近隣に住んでいる人は一度訪れてみたらいいだろう。

 現在、阪神野田駅近くの「野田店」が改装工事中であるため、営業中の店舗は「ウエスト本店」、JR福島近くの「ノース店」、芦屋の「芦屋店」の三店舗。一番敷地面積が広いのはやはり本店で、面積が広い分、扱う魚の種類も豊富だ。何より驚かされたのが、大阪のど真ん中でサバの刺身が売られていたこと。今や高知などの現場に行っても扱う店が少ないというのに、客に最後の運搬を任せるスーパーがあれほど傷みやすい魚を売れるというのは相当な自信があるのだろう。

 逆に一番小さな店舗はノース店で、こちらは梅田の成城石井より少し広いくらいか。ウエスト本店や最近できた芦屋店の大きさを知っていると、思わず「えっ」と言いたくなるので、わざわざ行ってみようと思う人は芦屋か西区に行くのがいいだろう。通路が狭くなかなか買いまわりにくいのだが、それでも魚と肉はばっちり扱っている。