個室にて

Ars Cruenta

ナイフの話

 ナイフにもごついのから五徳ナイフのような小さいものまでいろいろあるが、やはり一番手になじむのは少し小さめの、柄と刃の長さが1:1で柄がしっかり手に納まるくらいのサイズだと思う。これより小さいと切りものをするのが大変だし、これより大きいと切りものは楽だけど、皮を剝いだり刺したりするのがやりにくくなる。少し小さめのナイフが一番手になじむ、というのもある。今ではすっかりご無沙汰になってしまったが、このサイズならケース付や折り畳み式のものも多いから、キャンプに行くときなど外で使うときも大変役に立つ。

 というのもつい昨日、昔あった嫌なことを思い返してイライラしていた時のこと。あんまりイライラが酷くて仕事がうまく進まず、いっそ野菜でもぶった切って料理でもしている方がいいんじゃないかという結論に至った。気晴らしの作り置きで普段は作らないようなものも含めて結局7品を作ったのだが、ふと気づいてみると大きめの包丁を使ったのは春菊を切るときだけで、あとはずっと件の大きさのナイフでなんでも切っていることに気づいたのだ。ゴボウやレンコンといった少し硬いものも意外とナイフで何とかなるもので、あとは切る技術の問題という感じがする。料理をはじめたころは何でも練習だと包丁で皮をむいたり肉を切ったりしていたが、慣れてくると変わったこともある。最近は皮むきなんてピーラーだし、まな板を汚したくないときは肉もキッチンバサミで切ってそのまま鍋に入れたりしている。ナイフと便利グッズがあれば大体何とでもなる、といった具合だ。

 ナイフと言えば、ちょっと前に面白いことがあった。小売で働いていると段ボールの始末などでいろいろ切り裂かないといけないものが出てくるのだが、こうしたものはガムテープやのりづけされた面になっていて、普通のナイフで切ろうとするとあっという間にナイフがのりでやられてダメになってしまう。だから働いている人はだいたいカッターナイフを使っているのだが、ある同僚が「OLFAの刃を折るのが怖い」と言い出したのだ。ついには刃を折らずに新しいものに交換するとか言い出したので、自分が代わりに刃を折ったのだ。刃も折られず交換されてはOLFAもあまりに可哀そうだと思ったが、意外にそういう声が多く、今では刃を折るためのグッズが市販化されていたりするらしい。そうでもしないと刃が折れないとなってしまうと、それは便利なのやら不便なのやら・・・そこまでいくと安いカッターナイフを使い潰して交換したほうが気が楽な気もする。