個室にて

Ars Cruenta

仕事道具

 小売りで働いていると、印鑑付きのペンとカッターナイフは相棒のようなものだと言えるだろう。ペンと印鑑は別々の人も少なくないが、何かを書くこととハンコはしばしばセットになっているので(例えば領収証のあて名書きとハンコ)一体になっているシャチハタのペンが便利なのだ。また、大量の段ボールを使って品出しをした後は、段ボールを片付けなくてはならない。そこでテープをいちいちはがすのではなく、ナイフでサクサクと糊付けを切り裂いて始末するほうが圧倒的に楽なのだ。ほかにも、ビニールひもを断ち切ったり、陳列用に段ボールを裂いたりするなど、結構ナイフは使う。

 今の職場に勤め始めて5年くらいになるが、そういえば一番最初「カッターナイフも持ってきてね」と言われて近くのお店でよくあるOLFAの黄色と黒のナイフを買ってから一度も交換をしていなかった。身の回りの小物を赤と黒で調えているので、そういえばこれだけ例外だなと思い、正月の初売りに乗じて新調することにした。それがこれ。(職場で自慢できなかったのでここで自慢する)

少し深めの赤に黒の刃とは、OLFAさん分かってるじゃないか、というかよくもこんなのあったな。海外製のオシャレナイフやいっそのこと装飾ナイフを使うことなども検討はしたのだが、海外製のナイフは歯の取り換えが面倒そうだし、装飾ナイフがのりでべたべたになっていくのを見るのは辛い。結局、実用面から言ってOLFAが一番使いやすい。

 しかし、新しいナイフの切れ味というのはぞくぞくするくらい感動的だ。スッとナイフが入って、絹のような滑らかさで切れると思わず笑みがこぼれる。なんせ5年間で何度か刃を折っただけなので、切れ味が相当落ちていたのだろう。良い仕事道具を持つと仕事にも身が入る。たまにはキッチンの包丁もしっかり研いでやらないとな。