個室にて

Ars Cruenta

物価と洗剤と重量と

 キットカットがいつの間にか1枚少なくなり、某有名メーカーのおかきも33枚あったものが30枚になってしまい、企業はモノの値段を上げるか内容量を減らすかで対応を迫られているようだ。そんななかふと気になったのが、洗剤や柔軟剤である。NANOXなどのCMで「これからは重くない濃度の濃い洗剤を」とか、「ジェルボール一つで」みたいなことを言っておきながら、最近街のドラッグストアでも異様に重い液体洗剤を売っているのだ。

 たとえば「アタック抗菌EX」という洗剤は、昔は大容量でもせいぜい1.8kgくらいだったと思うのだが、いつの間にか2.5kgでご丁寧に持ち手までついた大容量品が売られている。2.5kgとなると、小さいお米より重い。フレアという柔軟剤も、昔からある大容量サイズよりさらにデカい、ごついパッケージが売られている。思えばジェルボール系の洗剤も、いつの間にかコストコとかに置いているような96個入りなんてのが出回っている。「たくさん買うとお得だよ」を地で行っている感じがする。

 最近は各社が「本体に対してどれくらいの量が入っているか」を詰め替えに書くことが多いのだが、その数字も物価の影響を受けてか微妙に変わっていく。3.3倍が3.1倍に下方修正されていたりすると、数が減ったのかなと思ったりする。なかには本体容量に対し4倍を謳っているものもあったりして、そりゃ重いわけだと思ったり。こんなことを繰り返しているうちに、もっと大きいパッケージが出回るのだろうか。もう詰め替えではなく、ポリタンクに入った柔軟剤でも売り出されるのではないか、なんて気にもなってくる。そのうち洗剤の買い物に出かける人はエコバッグではなくリュックを背負わないといけなくなるかもしれない。

 ただ、何でも洗剤を使って洗うのがいいというわけではないらしい。我が家では昔母が人から聞いてから、Yシャツは人間の頭に使うシャンプーを使って洗っている。ドライマークの設定にするのだが、実際に仕上がりは良好だし、シャンプーを使ったほうが洗剤の安っぽい匂いもつかない。母にそれを教えた人は、「人間の頭に使うものなのだから服に使って悪いことなどない」と言っていたらしいが、この件についてはその通りなのだろう。