個室にて

Ars Cruenta

ルー談義

 昔はそれほど気にしていなかったのだが、カレー、シチュー、ハヤシライス、どれを作るにしても最近はS&Bの製品を使うようにしている。ルーと言えばハウスやグリコも製品を出しているが、S&Bがスパイス&ハーブからきている通り、S&Bのルーはいずれもパンチのきいた、ちょっと大人な味が出る。

 まずハヤシライス。他社製のルーを幾つか使ってみたことがあるが、どうしても甘さが勝ってしまう印象がある。しかしS&Bのゴールデンハヤシライスはスパイスがきいていて、控えめの甘さにうまくマッチしている。いくつか食べ比べただけだが、ゴールデンハヤシは他のと全く異なる味わいがある。

 カレーも、ゴールデンカレーは段違いで美味しいと思う。ハウス食品のジャワカレーの辛い版「スパイシーブレンド」も悪くはないのだが、辛さごり押しでなんとかしている印象がある。これに対しやはりゴールデンシリーズはうま味とコクがすごい。調べたところゴールデンカレーにも「バリ辛」という激辛ものがあるそうだが、辛さだけを求めない限り、普通の中辛でも十分美味しい。

 シチューに関しては、食べたい路線によって二つに分かれる。比較的さらさらとした家庭的なシチューが好みなら「とろけるシチュー」、お店で食べるようなお肉がどんとあって周りにソースがかかるようなタイプのシチューが好みなら「濃いシチュー」がおすすめだ。濃いシチューは最初に食べたときは結構衝撃で、それからビーフシチューを作る機会が増えたくらいだ。

 もちろん、大手メーカーにこだわらずともいろいろの種類のルーがあるだろうが、あんまり高いと冒険もしにくくなるし、そもそも家で食べるカレーにお店のような味わいを求めるほうがおかしいような気がする。700円のカレールーなんかもあるが、中に入れる具材よりルーが高いなんてことになったら少し違和感を覚える。やはりルーは300円くらいでそこそこおいしいものを選んでおいて、肉を少しでも増やしてやるのがいいのではなかろうか。

 ちなみにこうした煮込み料理をすると、我が家の場合、翌日のお昼はもうだいたい決まってくる。ハヤシライスは翌日もそのままハヤシライスで食べる。オムハヤシにしてもよいのだが、なぜかそのままのほうが良いような気がするのだ。カレーは出汁を加えてカレーうどんかカレーそば。出汁感をより味わいたいなら、逆に出汁にカレーを加えていくのがいいそうだ。少しだけ薄口醤油を落とすと和風な感じが出てよい。シチューは、クリームシチューの場合はスパゲティになることが多く、ビーフシチューの場合はオムライスになることが多い。それ以外の場合というと、クリームシチューがオムライスにかかり、ビーフシチューがスパゲティになるだけなのだが。