個室にて

Ars Cruenta

アクセサリ

 子供のころから、何かにつけアクセサリが好きだった。小学生の頃はいつも女の子と遊んでいて、3年生くらいまではビーズが大好きだった。テグスにビーズをつけてネックレスにするのが特に好きだったのだが、ただ細いテグスにビーズを通すのは難しかった。首をどこかに引っ掛けないよう母にしっかり一周ビーズを通せと言われていたものの、それをさぼって外で遊びまわっていたとき、フェンスの金網にテグスが引っかかって死にかけたこともある。高学年になると近くの商業施設に手芸屋さんができて、そこで売っているビーズでハムスターなどを立体的に作るキットに挑戦した。ただテグスにビーズを通すだけで精一杯なくらいなのだ。手際も悪いし不器用な結果、できあがったのはぺちゃんこにひしゃげたハムスターで、ビーズはそれきりやらなくなってしまった。

 自分で作るのはそれきりなのだが、やはりアクセサリ好きはどこかで残っていた。子供だから高いものは買えない。思い出に残っているのは長野県の諏訪湖にあるSUWAガラスの里で一目ぼれした「青のアマルフィ」というタイトルのネックレス。当時の自分では手が出るかどうかの値段だったが、とてもきれいな色をしていて、アマルフィだが自分には眼前の諏訪湖が思い出される一品となり、結局宝石に手を出せるほど収入のない大人になった今でも、人と食事に出かけるときなどに身に着けている。一時は大人ぶってガーネットの指輪やチョーカーを探したこともあったが、人間、分相応のものを身に着けるのがいいのだ。最近は革のブレスレッドも身に着けるようになり、なんとなくおしゃれを楽しめている気がする。

 アクセサリとは少し違うかもしれないが、最近、いつもお世話になっている長野の戸隠神社で鈴のお守りをいただいた。家のカギにつけるためだが、ズボンのポケットに入れておくと、歩くたびに高い音が鳴る。アクセサリをつけるのはなぜだろう。どこかで自分をアピールしたいからだろう。だったらそのアピールに引けを取らない人間になりたい。もちろんゲームの主人公よろしく、この鈴の音がして「あいつが来たぞ!」となりたいわけではない。けれど、自分が身に着けるものに見合ったパフォーマンスはできるようになりたい。そんな気がする。