個室にて

Ars Cruenta

月の力

 昨夜は十三夜。実はウェザーニュースの通知を見るまで知らなかったのだが、仕事先での休憩中、ふと月が見たくなってうずうずとして、倉庫の窓を開けるとちょうどいい感じの月が出ていた。そういえばしばらく月を見ていなかったとしても、ふと月が見たくなる時は満月やそれに近い状態だったりすることが多い。邪魔な荷物を後ろに追いやって、片手にコーヒーを持ちながらしばしの月見を楽しんだ。この時間の月はまだかなり低い位置で、倉庫の窓から見るにはちょうどいい位置だった。

 私の住むマンションはキャバクラやら怪しげな店やらが並ぶ色町のなかにあって、そこではしばしば怒鳴り合いや喧嘩が起こる。午前2時くらいだろうか、チンピラがまた大声で怒鳴って喧嘩をしていた時の写真。明日は雨だから、月はずいぶんと大きく見えた。近くにある星は木星だろうか。もっと静かならウイスキー片手にお月見と行きたかったところだが、あいにく警察までやってきては情緒も何もない。

 どれほど体調が悪くても、満月が近いと体調がよくなる気がする。月の光を見ることは、植物や動物を観察するのとは全く違う、何かエネルギーのようなものに対面しているような感覚に陥る。職場の人に「あそこの窓を開けてごらん」と言うとキョトンとした顔をされたので、「月がとてもきれいだよ」と言うとなぜか顔を真っ赤にして大笑いされてしまった。