個室にて

Ars Cruenta

ピリ辛ナイズド味噌汁

 職場でいつも休憩中にカップ麺やおにぎりを食べていたのだが、健康とお金のことを考えてここ最近はお昼に食べた味噌汁とご飯の残りを持っていくようにしている。ただそのまま味噌汁を持って行ってしまうと、どうしてもお昼ご飯を繰り返し二度食べているような感じになってしまう。そこで、最近はやりの「味変」じゃないが、サーモスの保温容器に味噌汁を入れるとき、ときどき調味料を足してピリ辛味にしている。思えば信州で牡丹鍋を作るとき、猪の骨と一緒に唐辛子を炒めたりするし、ピリ辛味噌チャンポンなど、味噌と辛みはそもそも相性がいい。まして最近すっかり寒くなってしまったので、辛味が入るほうが体が温まるのだ。

 とはいえ何を使ってピリ辛にするのかで、味は当然変わってくる。おそらく一番マイルドな辛みになるのはコチュジャン。甘みも強い味噌なので、そこそこ入れてもそこまで辛くはならない。ビビンバのソースにコチュジャンを入れてもガツンとは来ないのと同じだ。もっとエッジをきかせるならば豆板醤だが、豆板醤は炒めてこそ辛みが強く出るので、味噌汁にそのまま溶かし込む程度ではそこまで大変なことにはならない。意外だったのは、飯田の辛みそを入れた時のこと。もともと長野で一番焼き肉が盛んな街と言うことで焼肉に使うための辛みそがSAで売られているのを買ってきたのだが、焼肉とタレに負けないからさに作られているということもあって、豆板醤を入れるよりずっと辛みとコクのある出来栄えとなった。

 とまあ、こんな風にアレンジしていたつもりが、はたと「味噌に味噌入れてるだけじゃないか」ということに気づき、先日はサテ・トムを入れてみた。サテ・トムというのはエビをベースにハーブなども入ったベトナム食べるラー油で、これがバッチリと味噌汁に合う。ちょうどエビがベースなだけあって、スープに溶かし込むとトムヤムクンみたいな香りがするし、味噌とも相性が良い。サテ・トム鍋を思いつくくらいには美味しかった。だんだん辛みのある調味料が思いつかなくなってきたので、次は柚子胡椒とかだろうか。柚子胡椒も味噌と相性がいいから、きっといい感じになってくれるだろう。