個室にて

Ars Cruenta

パスタソースとピザ

 世の中には、「これのために使ってください」と言わんばかりに「~用」と書かれたり料理名が明記された調味料が多々ある。各社は裏面にその料理をどのように作るかを詳しい数字付きで紹介し、料理が苦手な人でも苦労なく作れるようにいろんな工夫がされている。ただあまり「~用」にこだわりすぎて、「これに使わなきゃ!」という先入観を強く持ってしまうと、かえって使いづらくなってしまうこともあるのではないか。

 たとえばアヒージョ。S&Bから出ているアヒージョのシーズニングがあるのだが、ひとつの袋に二回分のシーズニングが入っている。アヒージョなんて家でそんなに頻繁に作るものではないから、ついつい置きっぱなしになって、そのうちおいてあることさえ忘れてしまったりする。しかし以前ふと思い至ってゆでたブロッコリーを軽く油でいため、このシーズニングで味付けをしてみたところ大変簡単にアーリオオーリオもどきができあがった。思い付きでやったことだが、「なんだこうしたら便利じゃん」と思った一コマであった。

 「~用」の転用のなかでも特におすすめなのが、パスタソースをピザソースに使うことである。ピザソースはまさに「ピザ用」のものが市販されてはいるものの、何種類か試したが少し甘めに作られているものが多く、分量を思うと割高に感じる。これに対しバリラなどのパスタソースはまとめ売りされて安くなっていたりするものの、それを全部パスタで食べるとなると大変な量があったりする。そこで我が家ではピザトーストなどを作るとき、パスタソースをそのままピザソースとして用いている。パスタに絡めて美味しいものなのだから、パンにもばっちり合う。家でピザトーストと言えばトマトソースを思い起こすが、ジェノベーゼソースなど、ほかのパスタソースでもおいしくいただけるので、いろんな味で食べられるのも魅力の一つだ。